医療の進歩は,いろいろなお薬でいろいろな病気を治してくれる機会を拡大してくれました。一方,医療等の各種の検査で,昔なら「ちょっと変わった子」に,今や○○に障害がありますと明示してもくれます。障害種に応じた専門の学校で専門の教育を受けることから,普通の小学校の特別支援学級に入って普通の学習とその子の障害に合った自立を助ける学習を行うこともでき,さらに通常の学級にいて一部の時間だけ通って学ぶ体制などへとどの子にも適した教育を与えたいと制度がかわってきています。子ども自身の成長の機会を大事にして,相談しながらどんな支援がいいのか考えていきましょう。
(ことば)通級指導教室
児童の中には,幼児の音が抜けきれない,吃音があるなどのためにそれが気になってしまうことがあります。引け目を感じたり,暗い気持ちになってしまうこともあります。自分の意志を円滑に伝えることができないで,混乱してしまうこともあります。おうちの方も「この子の発音がはっきりしないな」と思われることもあるでしょう。少しでも小さい頃にしっかり練習をして身に付けることは大切かと思います。
茨城町小中学校特別支援教育支援員
教育委員会に訓令第6号として規定があります。被支援者の規定等もありますので,詳細は元文書をご確認ください。
教育委員会から配置された支援員は,(1)障害児の身辺の介助,(2)校内における移動の介助,(3)危険な行動の防止安全配慮,(4)教材・教具の作成,(5)その他の業務を行ってくれます。労災保険,雇用保険の適用はあります。1日の勤務時間は6時間以内,週28時間以内,週5日以内,月間90時間以内,年間900時間以内で,給食や清掃時間の支援も勤務内とすることがあります。平成25年9月12日付け茨城町学第334号の「特別教育支援員の校外学習等における活用について」の通知で,1遠足等の校外学習での活用では,@保護者に同行を求めることとし,同校が不可能である場合でかつ校内の体制で対応が難しい場合のみ,A支援員本人が了解していること,B勤務時間以内で原則活用し,宿泊を伴う場合の同行はできない,C負担過重とならない配慮,D町から旅費等の弁償はしないとされています。2運動会等の学校行事では,@校内体制で対応が難しい場合,支援員の了解,B勤務時間内,C役割分担についての打合せの上,負担過重とならない配慮をする,とあります。
ある日のできごと(フィクション)
▼保育所や幼稚園での保育が大きくその形を変えたのは,平成元年,10年と幼保一元化の中であったのかと思う。幼児に一斉に,歌・工作やお遊戯などを行わせていたことから,道具などの「環境」を与えておいて,自分から遊びを作っていく創造性,積極性が育まれるように方向転換がなされた。ときを同じくして,発達障害への理解が進み,「自由保育にすると発達障害になる」ということが言われたりもした。
▼子どもは路地裏で集団で様々な遊びを展開していたので,多くの子どもは保育所や幼稚園に通うこともなかったが,徐々に家庭状況で選択がなされて通う子供が増えていった。小学校に入学すると「どこ(保育所・幼稚園)出身?」などと子どもから聞かれることもあったそうだ。
▼保育所や幼稚園では子どもの活動を見守り,どんな「考え方」をして遊びを工夫しているかを推測する。場合によっては「なぜ,この遊びをしているの?」と尋ねることで子どもの考えを汲み取り,「工夫しているね」と認め,「こんな道具でもっと楽しくなるね」と,どんどん称賛する。
▼友だちとのケンカは起きますが,同じ流れで「どうして手を出したの?」「相手をどう思っていたの?」「相手はこんな風に思っていたよ。」「もうしないようで仲良くできるかな?」と言って成長を待ちます。
▼家庭への連絡はこまめに行います。ひたすら称賛をすることが中心です。特別支援教育の流れの中では活動上できないことやふさわしくないことでも称賛します。大きな声を出してしまうときには,「元気ではっきり言えましたね」。一人で砂場でいろいろな山や道路を造り続けていると「いろいろな工夫が続けられていますね」。
▼その流れの中,元気に毎日活動していた子どもが小学校に入学すると状況は一変します。遊びが個別であれ,集団であれ自由に行えていたのに,「聞くこと」「じっと座っていること」が多くなります。「活発ですよ!」と保育士からほめられていたと思ってきた子どもが小学校の担任から厳しく何度も指導をされるようになり,「担任は自分の子どものよさを分かっていない。指導力に問題がある。できればかかわってくれるな。」と思うようになってきます。
▼保育所や小学校では,職員が相互に情報交換をして保育・指導の方針を決めていきますでの,問題があるとわかっていても,特別支援学校の方がふさわしいと思われる障害レベルでなければ,長期間に亘って伝えることはありません。「うちの子に障害がある」って言うんですか?と言われるよりも状況を記述した書類を蓄積して,いよいよ検査というときに初めて伝えられます。
▼それまでに,学級では『変わった子・困った子・空気の読めない子・・・』と子どもたちにも思われています。見ていると何かイライラするのでちょっかいを出したり,「あっちいけ」「キモイ」などと言われます。ときどき怪我をしたり,消しゴムが早く減ったりしているのを『いじめに遭っているのではないか』と心配になります。でも,うちの子は元気で問題はないのです。保育所でも問題があってたいへんですとは言われていません。障害があるとも言われていません。いじめなのかもしれないと思って,学校に問い合わせをします。
▼そうする中に,子どもが泥だらけになって帰宅するという事案が生じました。「これは親の出番だ。」かかわった数人の子どもと保護者が謝罪に来ることになりました。本当に謝ろうとしているのか疑問のある者もあったように思えました。
▼謝罪を受けたまではよかったのですが,聞くと子どもたちが少しずつ離れていっているようです。まだ,多少,子ども同士のいざこざは続いています。『もしかすると,うちの子に何か問題があるのかな。』とも考えるようになりました。でも,祖父母には言いづらいし,父親もこのままでいいと言っています。
▼だれもが気を遣って指導に当たっているのに,なぜこのようなことが起きるのでしょうか。就学前には年齢相応の育ちを意識していたのに,保育所や幼稚園,小学校と通う中で,確かに参観日以外に子どもの目に触れないで様子を見に行くことはなかったかなと思うのではないでしょうか。親が一番分かるはずなのに。
身近な子にいませんか?
●Aちゃん
自閉症のAちゃんは、急に予定が変わったり、初めての場所に行ったりすると不安になり、動けなくなることがよくあります。そんなとき、周りの人が促すと、余計に不安が高まって突然大きな声を出してしまうことがあります。周りの人から、「どうしてそんなに不安になるのか分からないので、何をしてあげたらよいか分からない」と言われてしまいます。でも、よく知っている場所では、一生懸命、活動に取り組むことができます。「自閉症」
●Bくん
友だちと話しているときに、自分のことばかり話してしまって、相手の人にはっきりと「もう終わりにしてください」と言われないと、止まらないことがよくあります。周りの人から「相手の気持ちが分からない自分勝手でわがままな子」と言われてしまいます。でも、大好きな電車のことになると専門家顔負けの知識をもっていて、友だちに感心されます。「アスペルガー症候群」
●Cさん
Cさんは大事な仕事の予定を忘れたり、大切な書類を置き忘れたりすることがよくあります。周囲の人にはあきれられ、「何回言っても忘れてしまう人」と言われてしまいます。でも、気配り名人で、困っている人がいればだれよりも早く気づいて手助けすることができます。「注意欠陥多動性障害(AD/HD)」
●Dさん
会議で大事なことを忘れまいとメモをとりますが、本当はメモをとることが苦手なので、書くことに必死になりすぎて、会議の内容が分からなくなることがあります。後で、会議の内容を周りの人に聞くので、「もっと要領よくメモをとればいいのに」と言われてしまいます。でも、苦手なことを少しでも楽にできるように、ボイスレコーダーを使いこなしたりと、ほかの方法を取り入れる工夫をすることができます。「学習障害(LD)」
●Eさんの例
Eさんは授業中、自分の意思に反して突然大きな声をあげたり、首を何度も振る動作をしてしまいます。そのため学校の友達には「落ち着きがなく迷惑なクラスメート」と言われてしまいます。こういった症状が出てしまうことが、障害によるものであることを、みんなに理解してもらいたいと思っています。「トゥレット症候群」
●Fくん
Fくんは会話をしていると、「きききききのう・・・」と単語の一部を何度も繰り返したり、つっかえてすぐに返事ができないことがあるので、友人から笑われます。「ゆっくり話しなさい」と言われて、そうしようとするとますます話せなくなります。これが障害によるものであることを、みんなに理解してもらえるといいなとは思いますが、恥ずかしいので言えません。「吃音(Stuttering)」